いい人と思われたいという感情は捨てるべき 1

今日も相変わらず上司が向こうから話を振ってこないため、沈黙を避けるべく俺は気を使って話題を提供していた。

当たり障りないように天気の話から食べ物、車、自然風土…手を変え品を変え工夫するのに腐心した。

途中でふと明日の行事について触れたのだが、そこで明日の仕事内容について妙に詳しく聞かれその場で確認しようとすると叱責された。「明日のことはしっかり把握しておけ。」と。

相手に気を使ってやったことで、自ら説教を食らうという悲劇から一日が始まった。

以降、自ら地雷を踏むような真似はしないと沈黙を決めた。

振り返ってみて改めて本当に馬鹿らしく腹立たしいことだ。

最近この沈黙が非常にストレスなのだ。

沈黙自体が嫌いなわけではない。その上司は客先では積極的に媚びるように話をしている。つまり部下が話題を提供するのが当然という態度が許せないのだ。

まともな人間ならば50代の管理職と新卒の間での歴然とした差があるなかで、部下が気を遣うことぐらい容易に想像できるだろう。

自ら話をせずだんまりを決め込む姿勢はビジネスマンとしても先輩としても全く尊敬できない。

部下がどのような性格で、どういった業務で負荷がかかっているかといった個々の得意不得意などを把握し、適切な仕事の割り振りを考え、組織の運営を円滑に進めるのが管理職の役目であろう。一体この男は何を考えているか。

私が想像するに、端的にいうとこれは「カッコつけ」である。

 

 

次に続く